刑事ジョン・ルーサー

BSで放送中の「刑事ジョン・ルーサー」を見ているのだが、挫折しかかっていて、もう見るのをやめようかと思っていたら、面白くなってきた。

このドラマはサイコスリラーサスペンスと言っていいのか、なんか変な刑事ドラマなのである。主人公は黒人のハンサムで暴力的でセクシーでかっこいいジョン・ルーサー。無茶苦茶な捜査で事件を解決するので、今どきの警察組織では困った人である。でも女上司からも同僚からも愛されていて、しょうがないなーもー、という感じではある。そうではあったのだが、みんな持て余し気味になっている。それは、愛する美人セクシー妻とうまくいかなくなって別居しているためイライラしているルーサーにうんざりなのか、職業柄不安定な精神状態になってしまったからなのか。そこに猟奇殺人犯であるアリスという若い女性が登場する。両親を残虐な方法でぶっ殺したが、上手に証拠を隠滅し、警察はどうにも手が出せない。でもルーサーにはわかっている、アリスが犯人であることは。このアリスが、面白がってルーサーを追い回す。ヘンなちょっかいをかけてルーサーの嫁を脅したりもするし、とにかくイライラする女だったのだが!!

ここに来てアリスがかわいいのである。なんか憎めなくなってしまってアリスから目が離せなくなってしまった。理由はおそらく、ルーサーの大親友の刑事イアンがクソ野郎で、クソもクソ、最低最悪な奴だと発覚し、あまりにもあまりなので、イアンと対決するためにルーサーに協力するアリスがかわいく見えてしまったのかも。アリスのルーサーに対する愛情?ちょっかいも、イアンの前では健気に映る。イアンがクソ過ぎて、どこからどう突っ込んでいいのかわからないというのもあり、アリスなんかかわいいもんじゃないかとすら思う。イアンは汚職警官で自分の私利私欲のために人を殺し、親友の嫁をぶっ殺しておいて、殺した後も嘘話で彼女を貶めるのだから、まったくもってイアンは殺すだけでは足りないほどのろくでもないカスなのだ。本当に気分が悪くなる話が入り乱れる変なドラマで、見ていてもしんどい。事の発端のダイヤモンド18粒の横領の話からして、もう吐き気設定。おまけに主人公のルーサー自身も100%良い人というわけでもないから、どこに癒しがあるというのか。いや、そんなもの求める方がおかしい。そしてすぐ物を壊して怒り狂うルーサー、めっちゃ怖い。でも声もいいし、ハンサム。頭もいいし、推理をする際の勘の良さも素晴らしい。だけどやっぱり狂気が宿っているので怖い。頭のキレ具合も怖い。

ルーサーをなぜか信頼してついてくるリプリーという若い新入りの刑事さんがすごく良いし、何とも言えない雰囲気の面白いドラマなんだけど、見ていて疲れる。愛する妻を親友だと思っていた男に殺された上に、その親友に妻殺しの犯人に仕立て上げられて踏んだり蹴ったりでかわいそうだし、美人妻も無駄死になのでかわいそうな主人公。でもそこがまたドラマチック。それにしても主人公の親友が一転、あそこまで人でなしになれるというのはすごいが、その捜査上で自分の不利な証拠を強引に奪い取るルーサーもそれなりに人でなしで異常。なのでどこに肩入れしていいのか、俺の感情移入先どこよ、みたいなオロオロ状態。

このドラマが始まったころはアリスがちょろちょろして鬱陶しいと思っていたが、このアリスの小悪魔な顔つきとか、よからぬことをやる気満々な性格の異常さがちらほらするところ、見ていたらだんだん好きになってきてしまった。どうしよう、アリスがかわいい???周りがひどすぎてかわいく見える?いやいや、最初はアリス、十分異常者でクソアマだったぞ!

このドラマの終着点がわからなくなってしまった。シーズン1で早々に愛する妻を殺され、信頼していた親友にはめられ、主人子のモチベーションとか将来に対する期待とか、そんなもん全部なくなったのに、どこまで続けるのだろう。もうこうなったらロンドンで起こる異常犯罪を解決するためだけに奔走するしかない、のかな?異常者だらけか、犯罪の温床ゴッサムシティか、ロンドンは。とりあえずわたしは、しんどいと言いながら見る。だってアリスから目が離せないんだもん。