太田松之丞 問われて語ってじゃじゃじゃじゃーん

深夜にたまに放送している「太田松之丞」を録画して見ている。わたしはそこそこ松之丞ウォッチャーだ。この番組では、視聴者からのお悩みを、爆笑問題の太田と講談師神田松之丞の二人が答えるというスタイルをとってはいるが、悩みに何にも答えず雑談して終わる。それを別室で爆笑問題の田中が見ていて、時々突っ込みを入れるというスタイル。世の中の人全員が田中なんかいらないと思っているだろうに、なんでいるのか意味がわからない。太田のバーターだろうけど、いらないどころの騒ぎじゃない。田中の汚い顔を見るとぞわっとするほどで、こんな汚いおっさんを出す意味がわからない。おまけに何にも、何一つ面白くなく意味のないことしか言っていないので、本当に不愉快だ。しかもたった数秒だけ。必要ないじゃん!いらないじゃん!なんなんだよ、ほんと。

番組自体はメインの二人がろくでもない話をしていてラジオみたいで楽しい。おそらく悩みを相談の投稿は、放送作家が適当に書いたものだと思う。だいたいよく知りもしない他人の悩みなんてものは、「んなもん、知らんわ。勝手にしろ」としか言いようがないのである。もっと細かく状況説明をされればまだしも、漠然と「会社の先輩が口が軽くて困ってます。先輩だけに言ったこともすぐ言いふらされています。最近どう?と先輩に聞かれたらなんと答えればいいでしょうか」なんて言われても知らんわ。そいつと先輩の力関係とか、会社での立場によって答えは変わるし。そもそも何でも問われるがままにぺらぺらしゃべる相談者がアホなだけだろうから、大した悩みでも困りごとでもないし。小学生が会社で働いているのかね。最近のインターンは小学生なのかね。ざっくり言えば、みんなに知られてもいい話をすればいいだけでしょうよ。「最近、どう?」「友達と映画に行ったんですよー。高いですね、最近の映画代って」とか、「家の近所にできたタピオカのお店、すごい行列なんですよ」とか言っていればいいじゃん。「最近、どう?」と言われて、悩みや愚痴をしゃべる相談者の方に問題があるとしか言いようがない。あるいは、「先輩こそどうですか?」と質問返しでいい。なんで口が軽い人に余計なことを言うのかな?いや、確かに、あんまりしつこく言われて、追い詰められて口を割らされるってことはある。わたしもやられたことある。でも、それは「口を割った自分が悪い」と反省して、二度とその手には載らないようにするだけ。そもそもは自分がしゃべっているんだから、自分が悪いと何故考えない?なぜ先輩のせいにする?口が軽い奴は、自分なんだよ!!!自分自身が一番口が軽いのに先輩のせいにするな。しゃべってもいないことを先輩が言いふらしたら先輩が悪いけど、そもそも、お前がしゃべっているということを自覚せよ。

というわけで、松之丞も太田も全く質問に答えず、軽くスルーしてお互いに悪い話ばっかりしていて面白かった。松之丞の婆さんと爺さんの話はラジオでもおなじみだが、鉄板だ。性格の悪いおかちめんこの婆さんと、男前で口数の少ない、でもそこそこスケベな爺さん。いい話ばっかりで、面白いけど少し哀しい。そこがまたいい。だがしかし、太田の話はいまいち。お父さんが倒れて入院したという話も、「で、裏口入学の話はどうなんですか」と聞きたくなるし(まあねえ、日芸に800万も積んで息子を入れようとする人はいないと思うのよね)、サザンの桑田の話も、結局は有名芸能と仲良しのあたくし自慢なのかしらと不思議な気持ちになる上に、話自体が全く面白くなくて、「うん。そう。で?」なので困ってしまう。サザンが活動休止していたかどうかも知らないし、興味ないし、解散してもどうなっても、「ああ、そうなんだー」としか思わないので、面白い話風に言われても困る。芸能ネタが大好きな人にとっては、例えば「うそー!あの時あのアイドルとあの女優、つきあっていたんだ!」と喜ぶ人にとっては面白い楽しい話かもしれないけど、興味のない人間からすると、「はあ・・・」である。バンド活動だろうと俳優だろうと、長年やっていたら休業したくなることもあるだろうし、喧嘩も仲たがいも飽きちゃうこともあるだろうから、そんなものはニュースでも何でもないと思うんだけど。勝手にすればいいじゃん。復活とかもどうでもいい。復活っていうのは、イエス磔刑ののちに地上に戻られたとか、そういうのが復活でしょ。バンドが再活動なんて復活でも何でもないんで、大げさなこと言わないでほしい。

じゃあタレントの話はどうでもいいのに、そいつらの家族の話の何がおもしろいんだよ!と言われると、それは「暮らし」だからだよ。よその人の暮らしを見聞きするのは楽しいんだよ。楽しいし、勉強になるんだよ。喧嘩だろうと仲良しだろうと愚痴だろうと、「ああ、人の暮らしってーのはこういうことだよなー」というのが微笑ましいのだよ。それを、松之丞はさすが講談師、話し方がうまいというのもあると思う。「どうしたの?」「あそこに看護師いるだろう」「うん、いるね」「あいつ、俺にほれてんだよ」って、息をひそめて爺さんが言うみたいに(本当に松之丞の爺さんの口調を真似たというのではなくて、所謂爺さんという年齢の男性が、こそこそ話を、重大なことのように息をひそめて言う感じで、敢えて芝居がかっている口調)言うんだよね。それもまた、しょーもなーい話を。それがいい。サザンが再活動みたいなのは芸能ネタで、俺ってサザンと仲いいから臭が漂ってくる話とは違う。日々の暮らしの中のエピソードをつまんで、面白く聞けるように話してくれるからいいんだよ。

松之丞の「他人の悪口ばっかり言っている」という自覚のある感じもいいし、結局悪口も上手に言えばエンターテイメントなのだから、その辺は上手にやってくれればこちらは大歓迎。時々、「他人の悪口を言うなんて最低!キリ!」といい子ぶる変人はいるけど、それはもう好みの問題なので、嫌いなら聞かなきゃいいだけ。そういえばうちの従姉妹が冗談の通じない人で、彼女が彼女自身の母親とうまくいっていないから、「話があるなら聞くよ。お母さんの悪口大会を開催してもいいし」と軽く言ったら、「いくら仲が悪くても、自分の母親の悪口大会をされたら気分悪いし」とマジで返してきたのでびっくりした。いや、そういうつるし上げをしようと言っているのではなくて、「あなたの心にたまっているものがあれば、吐き出していいのよ。こっちは聞いても聞いてないふりで、よそで言いふらしたりしないで聞いてあげるから。あなたがすっきりできるように、不満や文句や愚痴をしゃべってくれていいのよ」というだけのことなのに。本気で悪口大会を開催して、あることないこと言って罵りまくるとでも思っていたようで、あらまあ・・・であった。わたしの言い方が悪かったわねと反省しつつも、「こいつ、マジで受け止めているよ」とびっくりもした。「会社の人とうまくやっていけない、会社の人がいらないのにお菓子を勧めてきて嫌だ、断れなくて困る」と言っていたのも、なんだか「お前の断り方が常識を逸脱しているんじゃないのか?」と心配になってきたよ。

人の心配はさておき、太田松之丞はまあまあ楽しいです。太田がいまいち面白くないのと、汚い顔の田中がヘンな突っ込みを入れるのが不愉快なので、それがなかったらいいのにな。って、それじゃ問わず語りの松之丞のテレビ版になっちゃうな。結局松之丞ウォッチャーだってことか。