のっけから失礼します

わたしは昔から、ずっと前から三浦しをんちゃんが好きで、彼女の小説はおそらく全部読破し、エッセイを愛し、何度も読み返し、毎日のようにしをん~しをん~とうなされて、挙句に生まれ変わったら胸毛の生えた男子になってしをんちゃんに男女交際を申し込みに行かねばならないと思っていたが、お互い40を過ぎた堂々たるオバハンになり、めっきりそんなことを思わなくなった。が、しをんのことはいまでも好きだ。愛している!しをん~~~

というわけで、しをんちゃんのエッセイ集最新刊「のっけから失礼します」を読んだのだけど、相変わらずのしをんちゃんに悶えつつ、「なんでエグザイル軍団のファンになったんや!なんでや!」という嫉妬の炎で本が燃えてしまいそうであった。なんか気に入らん、エグザイル軍団。ち!!オレのしをんに何をしたんや!!

しをんちゃんを好きになったのはもう15年以上前で、当時彼女が契約していたボイルドエッグズのサイトに掲載されていたエッセイを読んで、面白い!!となり、デビュー作「格闘するものに〇」を読み、「うおおおお、この子は天才だ!みなさーん!天才が現れましたよー!」と、走り回りたい気になったものである。

それ以降、エッセイも小説も必ず買うし、サイン会やトークショーにも顔を出すファンとなったが、その後、しをんちゃんはどんどん売れっ子になり、出す小説出す小説、映画化、ドラマ化、アニメ化という人気っぷり。そんなしをんちゃんとは裏腹に、どんどん落ちぶれていくわたし。会社じゃ出世も見込めなくなり、やけくそになって会社を辞めると次の会社は解散とか、その次じゃ古株にいびられる。何だろうな、このどん底っぷり。まあ、いいや、しをんちゃんが幸せならば。別にオレも、たいして不幸でもないし。

確かあの頃、しをんちゃんは若いお嬢さんで、わたしも少しとうの立ったお嬢さんだったのに、気づけばお互いに更年期の乙女である。月日が経つのも夢のうち。まさに浦島太郎のようだ。わたしもしをんちゃんも、玉手箱を開けてしまったのか、まだ開けていないのか。ふがふが。

それにしても、15年ぐらいはすぐ経過するのだなあ。これからの15年もすぐだろう。15年後、しをんちゃんはますます出世して日本文学界の女帝となり、人々はしをんちゃんの前にひれ伏しているだろう。そしてわたしは変わらず、「しをん~なんでエグザイルやねん!」と言っている姿が目に浮かぶようだ。てか、今、浮かんだ。うわう。

とりあえずお互いに、いいじゃないの、幸せならば。