チンピラよりも質が悪く、ゴロツキよりもろくでなし

会社が移転した影響で、地下鉄に乗る時間が長くなった。コロナからの解放で朝のラッシュも結構なものになり、我が社もなぜかリモートに消極的になり、それで混雑を避けて女性専用車両に乗るようになった。

けっこうちらほら男性が乗っている。別に法的な効力があるわけではない女性車両なので乗りたければ乗ればいいと思うが、みみっちい男だなあと笑ってしまう。女ばっかりずるい!ということなんだろうけど、だったらその怒り、痴漢に向けろよ。痴漢のせいで女性専用車両ができたのだし、痴漢さえいなければ女性専用車両なんてできなかったのだから。だが男性は必ず女性に恨みを向ける。「女ばっかりずるい!女ばっかり優遇されている!この国は女尊男卑だ」とわめくけども、「おのれ、痴漢のクソ野郎!」とは言わない。誰一人言わない。潜在的に男は全員痴漢なんだろうなと思わざるを得なくなるひと時、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

わたしは若い頃は痴漢に遭って何度も悔しい思いやら、怖い思いやら、気持ち悪い思いをしたが、30過ぎたぐらいから痴漢に遭わなくなった。電車に乗るとき、バーン!!登場!!!という感じで乗り込むようにしたのだ。一歩車両に足をかけたあと車内をぐるりと見渡して、「あ?やんのか、コラ」という感じでガンを飛ばす。男の人はゲイじゃない限り、若そうな感じの髪の長い綺麗な人っぽい気がする女が乗ってくると見てしまうものらしいが、さっと目をそらす。「あ?なんだてめー」という顔で目が合った男の方に睨みをきかせると、100%目をそらす。よしよし、目、そらしとけ。わしと目が合って得することはないぞ?という感じでグイっと乗り込むと、みんな少し避ける。痴漢、絶対寄ってこない。わたしはその辺のチンピラより質の悪いゴロツキとなっていた。

もっとも、当時利用していた山手線において、そこまで混んでいない車両を狙って乗っていて(先頭車両などの激込みの車両には絶対乗らない)、余裕があるから睨みをきかせることもできたのだけど。実際これはとても有効で、しかも8センチぐらいのヒールの靴で背もでかくして、ついでに顔は元からでかいし、目もでかくて吊り上がっているのでそりゃもう、実写版の般若にしか見えない。パスポートの写真が般若のお面にそっくりで同僚がしばらく笑い続けたぐらいだから、睨めば勝てるに決まってる。

そんなわけで若いお嬢さんの頃痴漢に嫌な目に遭わされていたが、その後は全戦全勝になっていた。更にオバハンになると睨まなくても痴漢は来ない。来たらキンタマ蹴り上げるかキンタマ握りつぶすぐらいのパフォーマンスをするつもりだが、やっぱり来ない。あとは死ぬだけなので、この際、痴漢の一人や二人を血祭りにあげて刑務所に入っても我が人生一片の悔いなし!なつもりだが、誰も寄ってこない。

ゴロツキも板につきすぎて蒲鉾状態。あしたから、蒲鉾オバサンと名乗ろうかと思案中。