おしゃれをするのも命がけ

若い頃、インドの現地の女の子たちが、足首や手首に細いバングルをしているのがとてもおしゃれに見えた。10歳にも満たないような子供もしている。シャラシャラのバングルがとても素敵に見えて、日本に帰ってから細い銀のバングルをたくさん買ってシャラシャラさせて会社に行った。

いちいちシャラシャラするので、電話を取るたびにシャラシャラ。手を伸ばしてファイルを取ればシャラシャラ。字を書いてもシャラシャラ。うるさいったらありゃしない。会社のオジサン達に「うるせえな」と言われたけど、無視してシャラシャラ。

当時、わたしは耳にもバカ程ピアスをしていた。ずらーっと、耳の上部軟骨部分から下の耳たぶまで、ずらりと。小さな丸い玉のピアスか、小さい小さい輪っかのピアスをずらーっと並べていて、これもまた会社のオジサンに「何なの、その耳は!」と眉を顰められたが、無視してずらーっとつけていた。

が、しかし。

わたしは化膿しやすい体質で、おまけにアレルギー持ちである。18金のピアスなのに体調によってピアスの穴が化膿して痛くなる。熱を持っているときもある。寝るとき、どっちを向いてもどっちの耳にもピアスがあるので痛い。どうしても痛い。消毒液を手放せず、日々消毒をかかさない。もうピアスの穴をあけて何年経ったというのだろうと思っても、まだ痛い。膿も出る(ことがある)。

アホである。

バングルもシャラシャラうるさいし、手を洗う時もいちいち濡れて鬱陶しい。だー!邪魔だ、邪魔!!手を洗うとき、左右の大量のバングルを外して手を洗って手を拭いてまたバングルはめて~って、アホとしか言いようがない。会社のオジサン達は、「鬱陶しいからバングルもピアスも外せ」と言う。外野に屈するみたいで悔しいのでバングルもピアスも外さないのだけど、邪魔なのは事実だ。鬱陶しいのはお前だけじゃないというか、本人が一番鬱陶しいと思ってるよ!しかもピアスは時々膿んで熱を持って痛いときたもんだ。

どういうことやねん。

何年間かは罰ゲームのように我慢していたが、ある日バングルを棄て、ピアスも捨て、シャラシャラいうこともなくなり、膿んで熱を持つこともなくなった。どっちを向いて寝ても痛くない。会社はその前にとうの昔に辞めていた。

で、今は髪の毛の色がすごいことになっていて、時々近所のオバハンに睨まれる。なんでおしゃれな白髪染めをすると睨まれるのかな~。白髪が伸びてきても目立たないように、かっこいい感じに見えるようにハイライトも入れてシナモンベージュみたいな色に染めているだけなのにな~。来月はもっとピンクっぽくしてやろうかとか、青っぽくしてやろうかと思っているけどな~。バングルもピアスもおしゃれじゃーん、かっこいいじゃーんというつもりでやっていただけなのになー。

多分、何か、わたしは間違っている。