バカにしている人たちに物を売る方法

吉野家が炎上している。

自分じゃない人間の失言で炎上は楽しいが、個人的には、まあ、どうでもいいかなと思っている。

不思議なのは、このオジサンは、地方で育った女の子は18になって東京に出て来るまで外食をしたことがないと思っているところである。いや、あるだろう、普通。てか、もっと良いモノ食べていただろう、普通。どこにでもそこにしかないお店があって、尚且つ安くておいしかったりするので、そういうものを食べて育っているから、吉野家の牛丼を食べて「すごい!おいしい!!」と中毒になったりしないと思う。地方には食堂やレストランがないと思っているのだろうか?地方の人はアワやヒエ、麦しか食べておらず、肉は食ったことがないと思っていたのだろうか。野菜や米は、地方の人の方がクオリティの良いモノを食べている気がするのだけど。

ちょっとお金を稼ぐようになったら食べたくなくなるようなものを喜んで食べるのが地方出身の女の子だと言いたいのかなと解釈すると、それはそれは失礼な話。世の中にはたくさんの地方出身の人がいるので、多くの人を敵に回すことになると思わない点が迂闊すぎる。東京開催のセミナーでも、地方出身の人はいっぱいいるでしょうよ。『おいしくてまた来たくなるお店にするには!』というのを、センセーショナルに、ちょっと煽って、ちょっとユーモアを交えて言いたかっただけなんだろうけど、そのために地方出身者をバカ舌扱いして、田舎の娘っ子は外食したことがない味を知らない貧乏人なので騙せ騙せという、他者をバカにする表現はよくないよね。それ、ユーモアじゃなくて悪口。落としてバカにしていいのは自分だけ。自分を落として笑いを取るのはいいけど、他者を落としちゃ駄目。百歩譲って落としていいのは自分の家族まで。親とかきょうだい、親戚の人までよ。配偶者は元他人なので止めときな。

30万円以上払って参加したセミナーでこんな話をされたらがっかりだ。理屈が成り立っていないからなるほど~にもならないし(前述のように、地方には食い物がないのであればいざ知らず)。それに、子どものころに慣れ親しんだ味は大人になっても食べたくなるというのであれば、18歳デビューは遅い。もう、子どものころに慣れ親しんだ味じゃない。そういう意味でも、論理が破綻している。おまけに自分の会社の商品は、「おいしいものを知ったらもう二度と食わない」と断言していることになるので、いろんな方面にとっても失礼だ。お金払って参加したセミナーで、自分より頭の悪い、論理的思考がゼロのオジサンの話を聞かされるってなんの罰ゲーム?!と言いたくなるだろう。そりゃムカついてTwitterに投稿したくなるだろうよ。

おそらくリップサービスで調子に乗ってしゃべって、お追従で会場の人は笑ってくれるからそれで味を占めて今回またやっちゃったんだと思うけど、あの手のセミナーの会場で笑った人がいるからってウケたと思うのは危険。みんな退屈だからお愛想で笑ってやってるだけだからね。割り引かないところが、客観的判断力に欠けるオジサンがやりがちな失敗。傍から見ている分には愉快なのでわたし的には問題ないけど、最近の世間様は許してくれなかった。ご苦労様でした。合掌。