コントが始まる

 土曜日夜10時から始まった「コントが始まる」というドラマを見ている。なんとなく見始めたらすごくハマった。面白い!と思ったけど、視聴率はそれほど良くないらしい。でもそれがどうしたというか、今どきテレビドラマの視聴率なんて気にしてどうするんだろうな。リアルタイムでテレビ見る人っているの?わたしはもう何十年もリアルタイムで見ないけど。見てみたいものは全て録画予約をしている。だってその時間、テレビの前にいるかどうかなんてわからないもん。テレビって見ようと思って待ち構えるものじゃないと思うんだけど。

 それはともかくとして、このドラマのいいところは、導入部分のコントがものすごく面白くないところかなと考えたりしている。売れないコントをやっている若い芸人の青春群像劇なのだけど、売れねえ、これは売れないねえ~というのを表現しているかのような、毎回のお話を象徴するコントでドラマは始まる。そして、出てくる俳優さんが主役級の人ばっかりで、しかもうまいというのも素晴らしい。顔が綺麗な、ちょっと器用なタレント俳優さんではないところがいい。そして、伏線回収していくストーリー展開がうまくて悶える。ラーメン屋の告白で感動している態の潤平が、実は奈津美のメールで興奮していただけとか、食い気味に「何人に見えます?」と訊く春斗の不自然さも、実は公園のエピソードとつながっていたり。貧乏暮らしの売れない芸人なのになんで車をもっているのかな?と思ったら、その車はぷよぷよの大会の優勝賞金で買ったので10年も乗っているおんぼろだったというのがわかったり、ちょっとずつ回収されていくのにはワクワク。ただ、わたしは鈍いので伏線は気づかない、すぐ忘れる、気にしないので、ダメじゃん。ダメじゃん、わたし、視聴者として!今後、順々に、中浜姉の退職の理由や、どうしてあんなに追いかけていたマクベスの公演に今まで行ったことがなかったのかとか、中浜妹のスナック勤めとかも明かされていくのかも。

 わたしが若い頃からずーっとお笑いブームと言われていて、お笑い芸人さんの地位は向上し、あこがれてなりたい職業となり、それだけパッとしなくてさまよい続ける人が増えたと推測される。売れるってなんだろうと思いながらドラマを見ながら、挫折とか絶望とかいろんなこと感じながら、泣けるけど笑えるいいドラマだなあと思っている。男の子同士の喧嘩も興味深い。めちゃくちゃ怖いというか暴力的で、女の子同士ならもうおしまいというほどのキツイ喧嘩なのに、なぜかぬるっと仲直りしているのも興味深い。うらやましくないけど。

 20代になって、何も。何もいいことないですから。ずっと暗黒時代。

と中浜妹が言うのだけど、わかるなー。自分も20代はほぼほぼ暗黒時代で、でも不思議と、歳をとるほど楽になって楽しくなっていった。若さって何なんだろうかと思うほど、歳をとると幸せだ。暗黒ではなくなっていくこの謎現象。体はあっちこっち痛くなり、めまいだのふらつきだの、シミだのシワだのタルミだのって老化していくけど、心は解放されていくこの謎現象。暗黒とは一体なんだったのだろう。

 何度見ても泣けるし笑えるし、うらやましいし、身もだえするような甘酸っぱい青春とか、一度もわたしが経験した事の無い友情物語とか、いろんなことを思って楽しくてたまらんドラマだ。中華料理屋なのにポンペイとか、焼き鳥屋がボギーパットと、何かネーミングもおかしいところも、何かあるのかも。だけど地味なドラマ。地味なじわっとしたドラマなので、視聴率なんてどうでもいいと思うのだけど、どうなのかしら。このまま地味に当初の計画通り、打ち切りとか変なてこ入れ無しに終わってほしいな。あまりなんとも思っていなかった菅田将暉が、いい俳優さんだなあ、他の作品も見てみたいと思ったよ。

 マクベスのマネージャーが中村倫也だったので、珈琲を淹れてくれたりしないのかしら。期待したい(うそ)。